アーカイブズ・カレッジへの参加を検討している方のために
本記事は2012年2月に別のブログにポストしたものを、2015年4月に一部訂正を加え、本HPに再掲したものです。私がアーカイブズ・カレッジを受講したのは平成24–25年度ですが、平成26年度よりカリキュラムが大幅に変更されております(たとえば、今までのように分割履修が出来なくなった、など)ので、あくまで以下の情報は参考程度にしていただければと存じます。また、受講の際は必ずご自身で最新の情報をチェックしてください。
0 はじめに
アーカイブズ・カレッジ(以下、ACと略記)とはアーカイブズ学について6週間みっちり訓練を受けることができる無料の研修会です。短期コースもあって、そちらでは地方の資料館・文書館で10日間の研修を受けることができます。私は長期コース・計6週間の授業を2013年と2014年の2年にかけて分割履修しました(2013年には2週間分、2014年には4週間分の授業を受講ました)。
このように素晴らしい研修会なのですが、残念ながら、ウェブ上にAC受講者の参加記録などがほとんど残っていないようです。そこで、今後、参加を検討する方のために、ACの授業内容や受講者などについて、一参加者という立場から簡単に紹介したいと思います。もちろん、本ページは国文研のオフィシャルなものではありませんし、AC募集要項なども毎年変わっておりますので、その点はご留意ください。
このように素晴らしい研修会なのですが、残念ながら、ウェブ上にAC受講者の参加記録などがほとんど残っていないようです。そこで、今後、参加を検討する方のために、ACの授業内容や受講者などについて、一参加者という立場から簡単に紹介したいと思います。もちろん、本ページは国文研のオフィシャルなものではありませんし、AC募集要項なども毎年変わっておりますので、その点はご留意ください。
1 受講者のバックグラウンドと講師
やはり一番気になるところは、どのようなメンバーがACに参加しているかというところでしょう。
受講者のほとんどは大学院生で、全体の6~7割を占めています。特に、最も多いのが古代から近現代までの日本史専攻(6~7割ぐらい)の方で、図書館学・司書学専攻(1~2割ぐらい)、その他(1~2割ぐらい)です。ちなみに今年度は「その他」専攻の学生として、僕のような科学史・医学史の専攻の他に、西洋中世美術史や歴史言語学を専攻する方がいらっしゃったようです。あと院生の学年はM1の人が多いようです。
大学院生以外の参加者は図書館・資料館、企業や大学の史料編纂室の職員の方で、全体の2~3割ぐらいです。ただ、数としては5、6人ぐらいですので、現場の職員の方が多くいると思っていた僕としては少々もの寂しく思いました。6週間まるまる拘束されることになりますので、そういった方の参加は日程的に難しいのでしょう。実際、特別聴講として1週間だけ受講している現場の資料館の職員の方もいらっしゃいました。
希有な例としては現役の大学の先生や出版社の編集者の方もいらっしゃいました。もちろん、大学の先生などであれば、上にあげた「特別聴講」として気になったものだけを受講することも可能のようです。ちなみに、その先生は僕と同じように「分割履修」として複数年に分けて受講しているようです。
さて、このようにバラエティに富んだ構成となっていますが、全受講者の数は大体30人を少し超える程度です(定員の30名プラス前年度からの分割履修者が数名)。名簿上、今年度はのべ37人が履修されているようです。
一方、講師の先生方は国文研の先生が8人、外部の先生が18人となっております。さらに、埼玉県立文書館、神奈川県立公文書館、放送ライブラリー・横浜開港資料館でそれぞれ1日ずつ研修を行いますので、こちらもかなりバラエティに富んだ先生・職員の方々から授業を受けることが出来ます。
アーカイブズ学という研究領域を構成する学科は多岐にわたり、当然、それぞれの分野にはスペシャリストがいます。ACではそういった専門家の方たちを所属を問わず招聘しており、この点からも非常に充実していることがわかると思います。
受講者のほとんどは大学院生で、全体の6~7割を占めています。特に、最も多いのが古代から近現代までの日本史専攻(6~7割ぐらい)の方で、図書館学・司書学専攻(1~2割ぐらい)、その他(1~2割ぐらい)です。ちなみに今年度は「その他」専攻の学生として、僕のような科学史・医学史の専攻の他に、西洋中世美術史や歴史言語学を専攻する方がいらっしゃったようです。あと院生の学年はM1の人が多いようです。
大学院生以外の参加者は図書館・資料館、企業や大学の史料編纂室の職員の方で、全体の2~3割ぐらいです。ただ、数としては5、6人ぐらいですので、現場の職員の方が多くいると思っていた僕としては少々もの寂しく思いました。6週間まるまる拘束されることになりますので、そういった方の参加は日程的に難しいのでしょう。実際、特別聴講として1週間だけ受講している現場の資料館の職員の方もいらっしゃいました。
希有な例としては現役の大学の先生や出版社の編集者の方もいらっしゃいました。もちろん、大学の先生などであれば、上にあげた「特別聴講」として気になったものだけを受講することも可能のようです。ちなみに、その先生は僕と同じように「分割履修」として複数年に分けて受講しているようです。
さて、このようにバラエティに富んだ構成となっていますが、全受講者の数は大体30人を少し超える程度です(定員の30名プラス前年度からの分割履修者が数名)。名簿上、今年度はのべ37人が履修されているようです。
一方、講師の先生方は国文研の先生が8人、外部の先生が18人となっております。さらに、埼玉県立文書館、神奈川県立公文書館、放送ライブラリー・横浜開港資料館でそれぞれ1日ずつ研修を行いますので、こちらもかなりバラエティに富んだ先生・職員の方々から授業を受けることが出来ます。
アーカイブズ学という研究領域を構成する学科は多岐にわたり、当然、それぞれの分野にはスペシャリストがいます。ACではそういった専門家の方たちを所属を問わず招聘しており、この点からも非常に充実していることがわかると思います。
2 授業
カリキュラムの大幅改訂前(2014年度)までは、授業は平日5日間、計6週間にわたっておこなわれました。授業内容は「アーカイブズ総論」・「アーカイブズ資源研究」・「アーカイブズ管理研究」の3つに大別することができ、全6科目を受講します。最初に「アーカイブズ総論」という総論・理論の授業を1コマ受けた後、「アーカイブズ資源研究」を1コマ、アーカイブズ調査・収集・移管、整理記述(目録作りなど)、社会貢献、保存管理についての「アーカイブズ資源研究」という科目を4コマ、という感じです。そして最後に、修了論文(詳細は後述)を執筆・提出して、審査に合格すると晴れて修了証が授与されることになります。
授業は一回90分で、それを毎日11:10から16:50まで(一週目だけ朝9:30開始)受けることになり、そこそこハードです。また、国文研は立川にあるのですが、立川駅からモノレールで1駅、それから徒歩10分弱と、正直そんなにアクセスはよろしくありません(笑)。ただ、上にも書いたように、外部の資料館・文書館などに全部で4回研修に行き、現場を実際に見ることができるので、色々と勉強になりますし、なによりも気分転換になります。このように、一本調子の授業にならないよう様々な工夫がなされておりますので、あっという間の6週間となることでしょう。
授業は一回90分で、それを毎日11:10から16:50まで(一週目だけ朝9:30開始)受けることになり、そこそこハードです。また、国文研は立川にあるのですが、立川駅からモノレールで1駅、それから徒歩10分弱と、正直そんなにアクセスはよろしくありません(笑)。ただ、上にも書いたように、外部の資料館・文書館などに全部で4回研修に行き、現場を実際に見ることができるので、色々と勉強になりますし、なによりも気分転換になります。このように、一本調子の授業にならないよう様々な工夫がなされておりますので、あっという間の6週間となることでしょう。
3 修了論文と参加動機
長期履修者の方は修了論文を執筆・提出しなくてはいけません。地域や機関での史料保存の取り組み、アーカイブズ管理の実務上の課題、史料論など、ACの研修内容に関するテーマであればどのようなトピックでも大丈夫です。分量は1万2000字程度です。
なお、ここで注意しておかなくてはいけないのが、修了論文を書くまでの期間がそれほど長くないということです。例えば2013年度の場合、7月17日から8月3日までが前期、8月27日から9月14日までが後期となり、9月14日までに修了論文の題目を提出し、11月28日までに修了論文を提出することになっています。このことからもわかるように、授業期間中に学び、知り得たことを十分に活かして論文を書くためには少々時間が短いかもしれません。そのため、履修を考えている方は、受講前までの時点である程度、修了論文についての構想を固めておいた方がよいかもしれません。
ただ、学生には修了論文の執筆アドバイザーとして国文研の先生が一人つき、的確なアドバイスをいただけますので、上記の点についてはあまり神経質になる必要はないでしょう。まわりをみていると、大体、第一週目にアドバイザーと面談をして、どういう方向性で論文を書くかを相談しているようで、修論などを書いていない人であれば、それからでも十分に執筆することができるでしょう。なお、過去の受講生の修了論文タイトルは、国文研のHPに掲載されております。
ACに応募する際に記入する際には、「修了論文の題目・内容」を簡単に書いて応募することになります。私がAC受講を希望した理由としては、私の尊敬する先生からアーカイブズ学の知識を深めることをすすめられたこと、知り合いの資料館員の方にACの良さを聞いたこと、そして、医学関連資料をどのように保存・管理・公開・活用していくかに関心があったことがあげられます。そういったことを、応募の際に書いて、ACに申し込みました。以下、参考までに私の提出した「修了論文の題目・内容」を掲載いたします。
なお、ここで注意しておかなくてはいけないのが、修了論文を書くまでの期間がそれほど長くないということです。例えば2013年度の場合、7月17日から8月3日までが前期、8月27日から9月14日までが後期となり、9月14日までに修了論文の題目を提出し、11月28日までに修了論文を提出することになっています。このことからもわかるように、授業期間中に学び、知り得たことを十分に活かして論文を書くためには少々時間が短いかもしれません。そのため、履修を考えている方は、受講前までの時点である程度、修了論文についての構想を固めておいた方がよいかもしれません。
ただ、学生には修了論文の執筆アドバイザーとして国文研の先生が一人つき、的確なアドバイスをいただけますので、上記の点についてはあまり神経質になる必要はないでしょう。まわりをみていると、大体、第一週目にアドバイザーと面談をして、どういう方向性で論文を書くかを相談しているようで、修論などを書いていない人であれば、それからでも十分に執筆することができるでしょう。なお、過去の受講生の修了論文タイトルは、国文研のHPに掲載されております。
ACに応募する際に記入する際には、「修了論文の題目・内容」を簡単に書いて応募することになります。私がAC受講を希望した理由としては、私の尊敬する先生からアーカイブズ学の知識を深めることをすすめられたこと、知り合いの資料館員の方にACの良さを聞いたこと、そして、医学関連資料をどのように保存・管理・公開・活用していくかに関心があったことがあげられます。そういったことを、応募の際に書いて、ACに申し込みました。以下、参考までに私の提出した「修了論文の題目・内容」を掲載いたします。
修了希望題目:「日本における医学関連史料の保存・収集に関する考察――英国ウェルカム図書館の活動を参考に」
内容:現在、日本で収集されている医学関連史料は行政文書あるいは医師に関する資料などが中心で、患者(病者)の診療記録などはほとんど収集されていない。しかし、後者のタイプの史料群は海外ではケース・ヒストリーと呼ばれ、医療の社会史研究者にとって最も利用される史料であることからも、その収集・保存は不可欠である。そこで、英国でそういった課題に先駆的に取り組んできたウェルカム図書館などの活動を検討することで、日本における同様のアーカイブズの構築可能性について考察したい。
おわりに
上でみたように、受講者は日本史学専攻の方が多いですが、日本以外を対象とする歴史研究者の方もアーカイブズ学から多くのことを学ぶことが出来ると思います。個人的には西洋史の方に自分のフィールドとする地域のアーカイブズなどを積極的に日本史の人に紹介してほしいと思っていますし、また、文学や美術史をやっている方にも自分の専門分野特有のアーカイブズなどについても教えて頂きたいと思っています。私は今回ACに参加したことで、本当に色々なことを学ぶことができ、また、アーカイブズ関連の知り合いも増えて、非常に楽しめていますので、一人でも多くの方にACについて関心をもっていただけると嬉しいです。ということで、ご意見・ご質問などございましたら、お気軽にご連絡ください。
参考
AC修了者有志による修了論文報告会に関する情報が掲載されているブログです。修了論文報告会は例年3月に開催されており、どなたでも参加可能ですので、AC受講を考えている方は一度こちらをのぞいてみるとよいかもしれません。
2013年9月に提出したAC修了論文を基にして、『国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇』に投稿した論文です。なお、同誌には毎年、AC修了者が投稿した論文が2、3本掲載されますので、是非チェックしてみてください。
2013年9月に提出したAC修了論文を基にして、『国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇』に投稿した論文です。なお、同誌には毎年、AC修了者が投稿した論文が2、3本掲載されますので、是非チェックしてみてください。